浮気や不倫を証明するのに、ボイスレコーダーなどで録音したデータは有力な証拠となるのでしょうか。浮気の証拠能力だけでなく、離婚や慰謝料請求の場合に有効な証拠は何か、どういった方法で録音するのが良いのかなどを解説します。浮気や不倫の証拠を録音しようとしている方は参考にしてみてください。
ボイスレコーダーは法的に浮気の証拠になる?
ボイスレコーダーで録音した音声が法的な浮気の証拠になるかはケースバイケースです。
浮気の証拠にならない場合
違法行為で取得したもの
パートナーの実家や所有物(カバンや洋服のポケットなど)、別居中のパートナーの家、浮気相手の家や車など「夫婦共有のもの」以外の場所にボイスレコーダーを仕掛けるのは違法行為になり、証拠として認められません。
別居中のパートナーの家や実家、浮気相手の家に仕掛けると、住居侵入罪に問われる可能性があるため避けましょう。
反社会的な手段や、パートナーの人格を侵す方法で録音されたものも証拠として認められません。
浮気をほのめかすだけの音声
浮気をほのめかす発言を録音した音声データ単体では、証拠の能力は高くありません。そのため、こういったものを複数の別の証拠とと組み合わせることで、浮気の説得力を持たせることができます。継続的に日時含めて記録し、他の証拠の収集とあわせて集めていくことが重要です。
浮気の証拠になる場合
法的に離婚理由や慰謝料請求の根拠として認められるのは、肉体関係のある浮気のみです。
性行為中の音声のみだと「DVDを見ていた」などの言い逃れをされる可能性があるため、いつ、誰と誰が性行為を行ったのか明確である必要があります。
本人が浮気(不倫)を認めた録音データ
本人が不倫(肉体関係)を認めた発言をした音声データは、有効な証拠となります。後から「嘘だったが言わざるをえない状況だった」「言わされた」「その意味では言っていない」のような反論の余地を残さないために、前後の会話の録音や日時など記録しておきしましょう。
音声データは内容によって有効な証拠となりえますが、ボイスレコーダーの音声のみでは証拠として不十分と扱われる場合もあるため、以下のものを一緒に提出して証拠能力を強化することをおすすめします。
- 探偵や興信所の調査報告書
- 肉体関係を推測できるメッセージのやりとりや通話履歴
- ホテルに出入りしている写真、性行為中の写真や動画
- 妊娠、堕胎がわかる資料
- ホテルを利用したことが推測できるクレジットカード明細など
不倫の証拠は鮮明な写真や動画が必要!
浮気相手とのLINEのキャプチャを撮って裁判に臨もうとする方がいらっしゃいますが、肉体関係がはっきり証明できない文字だけでは、裁判で不貞の証拠として認められず、泣き寝入りするというパターンも。
これらだけでは不貞の証拠として難しい可能性があります
他にも、ホテルのレシート、一緒に写っている写真、避妊具、髪の毛、服、手帳なども同様に、「浮気の証明」にはなっても「不貞の証明」にならない為、有用な証拠として使えないことも多いのです…!
慰謝料請求のための証拠
- 不倫(不貞行為)の証拠
肉体関係があったことを証明する証拠(写真、映像、録音データ等)
- 不倫相手の故意・過失の証拠
故意
不倫相手が「あなたの夫・妻が既婚者であること」を知って交際していた証拠
過失
不倫相手の過失で「あなたの夫・妻が既婚者であること」を知らずに交際していた証拠
不倫(不貞行為)の証拠として期待できる証拠品の例
証拠 | 証拠能力のある内容 |
---|---|
LINEなどのやりとり |
肉体関係があったと認められるもの |
写真・映像 |
ラブホテルに出入りしている写真や映像 不貞行為の写真・映像 |
音声データ・文章 |
パートナーと不倫相手が不倫を認めた録音データ/文章 肉体関係があったと推測できる電話の通話記録 |
その他 |
肉体関係があったと言える情報 |
探偵社の報告書 |
ホテルに出入りする写真や目撃情報を記載した報告書 (複数回あると良い) |
より不貞の証拠としての有効性を高めるするために、これらの証拠を複数集めて揃えておくことが重要となってきます。
裁判や慰謝料請求で有効性の高い証拠写真・映像とは?
離婚や裁判を考えるのであれば、性交渉があったとわかるラブホテルや自宅、相手宅に出入りしている写真や映像が必要になります。
街角探偵紹介の探偵社の調査報告書サンプル
不貞の証拠は、本人とわかる鮮明な写真、ラブホテルや家などに何回も出入りしていることなどが証明されるものが、証拠として強くなっていきます。
また、単純な写真だけでなく、撮影した場所や日時も合わせて情報がわかるものを用意する必要があります。
不貞の証拠として難しい証拠写真・映像の例
ラブホテル |
・出入りの瞬間の写真が撮れていない ・不倫相手とパートナーの顔がしっかり写っていない ・2〜3時間以上滞在している、という証明ができない |
ビジネスホテル |
・同じ部屋に入っていた、という証明ができない ・数時間のみの滞在である |
相手の家 |
・2人同時の出入りの瞬間の写真が撮れていない ・数時間のみ滞在である ・1回のみ ・浮気相手の家が事務所も兼ねている場合 |
ボイスレコーダーの設置場所のポイント
「自分でボイスレコーダーを仕掛ければ浮気の証拠を掴めるかもしれない」ということは考えられやすい案ですが、仕掛ける場所次第では違法行為になる可能性があるため注意が必要です。
パートナーのカバンや服などの所有物や、浮気相手の家や車などは住居侵入罪やプライバシーの侵害に該当し、かえって自分が罪に問われるかもしれません。
仮に浮気を証拠付ける音声が撮れたとしても、違法行為で録音された音声は証拠として認められません。
自宅(パートナーの自室)
浮気調査のためにボイスレコーダーを設置するなら、パートナーの所有物ではなく、夫婦共有スペースであれば問題ありません。
パートナーが浮気相手とやりとりをするであろう場所に設置しておくと良いでしょう。
パートナーの自室であれば一番油断する場所であり、浮気相手と電話したり、連れ込んでいたりする可能性があり、最適な録音場所です。
製品によっては遠隔操作も可能です。
ただし隠し場所や隠し方には細心の注意を払いましょう。
もしボイスレコーダーがバレてしまうと、その後の浮気調査が難航することになります。
自家用車
車の中は密室であり、自室と同じくらいに油断しやすい場所です。
スマホを車のオーディオとつなぎ、スピーカーで電話をする人も増えているため、パートナーの声だけでなく浮気相手との通話が全て録音できる可能性があります。
浮気相手を乗せて出かけることがあれば会話も録音できる可能性があります。
設置したボイスレコーダーが振動などで外れたり、隠していた場所から出てきたりしないよう、しっかり固定しましょう。
車内をあまり整頓していないか、道具などが多く積まれている場合、カモフラージュしやすく隠し場所が多くあります。
持っているレコーダーがうまく隠れる場所を見つけましょう。以下の場所も参考にしてみてください。
助手席、リアシートの下 | スピーカーとエアコンの吹き出し口が近ければ空調音カットなどの設定をし、テストしてみましょう。 |
サンバイザー、サングラス入れ | ペン型のレコーダーであればサンバイザーに差し込んで仕込んでおけます。 |
シートのバックポケット | 隠しやすい場所でもあり、見つかりやすい場所でもあります。集音効果も下がるためあまりおすすめしません。 |
浮気調査のボイスレコーダー利用の注意点
浮気相手の家などに無断で仕掛けることはNG
浮気調査を行う中で浮気相手の家や車が判明する場合もあるでしょう。
「浮気相手の家の中や車にボイスレコーダーを設置すれば証拠を掴めるかもしれない」と勝手にボイスレコーダーを設置すると住居侵入罪やプライバシーの侵害に問われ、かえって損害賠償を請求される可能性があります。
違法行為で集めた証拠は裁判で証拠として認められないため、やめておきましょう。
第十二章 住居を侵す罪(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
引用:刑法
第三章 国民の権利及び義務
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
引用:憲法
第五章 不法行為(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法
パートナーの鞄などに仕掛けるのもNG
パートナーの鞄など所有物に仕掛ければ証拠を掴める可能性は高まりますが、個人の所有物に仕掛けることはNGです。
夫婦で共有しているものなら仕掛けられますが、パートナー個人の所有物であればプライバシーの侵害に問われる可能性があります。
夫婦関係であるとはいえ、個人のプライバシーは尊重されるべきもので、見つかるリスクや違法行為に問われるリスクがあるためやめておきましょう。
音声データ単体では有益な証拠とはならないことがある
合法的に得た証拠であれば裁判で使えますが、ボイスレコーダーの音声だけでは証拠能力としては低く、有利に働かない場合があります。
ボイスレコーダーの音声の証拠能力を高めるためには、パートナーと浮気相手が性行為を行ったことが明確であるか、推測できる写真や動画なども一緒に提出する必要があります。
浮気調査がバレることがある
浮気調査でボイスレコーダーを使う場合、多くの場合は声が拾える範囲に設置することになります。
うまく隠したつもりでも、隠し方や固定の仕方が甘く、ふとした拍子にバレてしまう可能性があります。
もしバレてしまった場合、パートナーの浮気が事実ならパートナーは浮気をさらに隠すようになり調査が難航し、浮気していなければ夫婦関係が悪くなるかもしれません。
浮気が事実かどうかにかかわらず、不利な立場になることは想定しておいたほうがよいでしょう。
自分で確認してトラウマになる可能性がある
浮気調査でボイスレコーダーを使い、疑っていた浮気が現実のものとなった場合、精神的な負担は非常に大きいものです。
自分のパートナーと浮気相手の性行為中の音声や、自分の悪口を言っているのを聞くことになる可能性があります。
聞いたことによりトラウマになってしまい、パートナーを信用できなくなったり、もし別れた場合は次の恋愛に踏み込めなくなったりするかもしれません。
特に夫婦関係の再構築を考えている場合、録音データを自分で聞くことは避けたほうが良いでしょう。
浮気調査で使えるボイスレコーダーを選ぶポイント
連続録音時間
ボイスレコーダーを選ぶなら、連続録音時間が10時間以上のものを選びましょう。
録音時間が短いと重要な部分が録音できなくなり、浮気を確定させるためのチャンスを逃してしまう可能性があります。
半日の録音や自宅で録音するなら10時間以上、車で録音するなら20時間以上、終日録音するなら30時間以上録音できるものをおすすめします。
バッテリーの持続時間
バッテリーは電源を入れたら消耗していきます。
バッテリーの持続時間が短いと肝心なところが録音できなかったということもあり得るため、できるだけバッテリーの持続時間が長いものを選びましょう。
製品によってはバッテリーの持続時間が長くても録音の質が低いものもあるため、購入前に口コミを調べたり、可能ならテストしたりすることをおすすめします。
「録音可能時間」と「バッテリー持続時間」は異なるため注意が必要です。
交換可能なバッテリーやメモリ
毎日録音するのであれば、ボイスレコーダーのバッテリーは本体充電式よりも乾電池交換式のものを、記憶装置は本体に録音するハードメモリよりもSDカードなどの交換できるタイプのものがおすすめです。
充電式やハードメモリでは、充電やデータ移行のために取り外し・取り付けのために設置場所へ2度行くことになりますが、交換式であれば1度行くだけで済みます。
浮気しているパートナーにバレてしまうリスクをできるだけ避けるため、交換式のものを選びましょう。
マイクの性能
バッテリーや録音時間が長くても、マイクの性能が悪く音声が鮮明に録音できていなければ浮気を証拠付けるチャンスを逃してしまいます。
見えない場所、離れた場所に設置したときでも音声が明確で、誰の声か判別できるものを選びましょう。
ノイズキャンセル
ボイスレコーダーは基本的に隠れた場所に設置するため、ノイズキャンセル機能があるものを選びましょう。
ノイズキャンセル機能とは人の話し声を感知しクリアに録音する機能です。
ノイズキャンセル機能がなければ、車のエンジン音や音楽、雑音で音声がはっきり聞こえない場合があります。
形状・操作性
サイズはできるだけ小さく、軽いものおすすめします。
サイズが大きく、重量があるものだとパートナーに見つかってしまうかもしれません。
パートナーの行動パターンに合わせて日常的に使うものに扮したものでも良いでしょう。
ペン型など形はさまざまですが、クリップがついているものだと擦れる音が入りにくくなるため聞き取りやすくなります。
サイズにこだわりすぎて使いこなせなければ意味がありません。
自分が使いこなせるものを選びましょう。
倍速再生機能
録音内容を確認する際、通常であれば録音時間と同じ時間以上の時間を費やすことになります。
倍速再生機能があれば内容確認の時間短縮になり、作業効率があがります。
録音内容を確認するためには、パートナーと浮気相手の会話を全て聞かなければならないため、精神的な負担が大きいものです。
費やす時間と精神的な負担を減らすため、倍速再生機能がついているものをおすすめします。
セルフタイマー機能
セルフタイマー機能があれば録音を始めたい時間にセットできます。
通常であればボイスレコーダーを設置してパートナーと浮気相手が会うまでのメモリとバッテリー、内容確認時の時間も費やすことになります。
浮気相手と会うときのパートナーの行動がわかっている場合にセルフタイマー機能は特に有効です。
VOR
VORとはVoice Operated Recordingの略で、一定の大きさの音をマイクが感知したら録音が始まり、音が小さくなると録音が止まる機能のことです。
必要な部分だけ録音ができるため、メモリとバッテリーが節約できます。
製品によっては安い電池や充電残量次第で録音の質が下がることがあるので、可能であれば購入前にテストして確認してみましょう。
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